リヨン&パリから電車で行けるスキー場「 Les Arcs」で雪山ハイキング体験
この記事の目次
初心者が雪山ハイキングをするなら
ハイキングに慣れている人でも、行き先が雪山となると事情も少し変わりますよね。私も普通のハイキングは月に1〜2回ほど、時々山へも出かけるので比較的慣れている方ではありますが、雪山となるとやはり慎重になってしまいます。
でも今シーズン中にどうしてもスノーシューで雪山を歩いてみたいと思い、最終的に目的地に選んだのがスキー場です。前回の記事「フランスの冬の人気旅行先スキー場について知っておきたいこと」でもお話した通り、フランスの多くのスキー場では雪山ハイキングができるコースが併設されています。スキー場内なら道もきちんと整備されていたり、通の山と比べれば雪崩の危険も普予知しやすいため、初心者にもおすすめです。むしろ初心者は、まずはスキー場内のコースで慣れてから普通の山へ行くべきではないかと思っています。
電車でのアクセスが超便利なスキー場「Les Arcs」
自家用車は持たず、車での移動もできるだけ避けている我が家。公共交通機関で行けるスキー場を探してみました。その中で今回行ったのは、リヨンから電車で日帰りもできるアルプスのスキー場「Les Arcs(レザルク)」。
Les Arcsは、フランスでも有数のスノーリゾート「Paradiski」を構成する3つのスキー場のうちの1つです。前回の記事で紹介したスキー場の世代で言うと、第三世代にあたります。
最高地点の標高は約3200m、標高の異なる4つのゲレンデから成る広大なスキー場ですが、最大の魅力はアクセスの良さと言ってもいいかもしれません。
麓にあるフランス国鉄SNCFの駅「Bourg Saint Maurice (ブール・サン・モーリス)」とスキー場の玄関口となるゲレンデ「Arcs 1600」は、直通のケーブルカーで結ばれており、所要時間たったの7分です。しかも、Bourg Saint Mauriceまで電車を利用した場合は、このケーブルカーが往復無料で利用できるんです。車を利用せずにスキー場へ行くのは難しいと思いがちですが、Les Arcsなら電車でもアクセスが非常に便利です。
リヨンからのアクセス
リヨンから、ケーブルカー乗り場があるブール・サン・モーリスまでは、TER(普通列車)を利用します。リヨンのパール・デュー(Lyon Part Dieu)駅からブール・サン・モーリス(Bourg Saint Maurice)駅まで直通、またはシャンベリー・シャルル・レゾー(Chambéry-Charles-Les-Eaux)駅で乗り換えとなります。所要時間は直通の場合で約3時間半です。
私が利用した電車の時刻は以下の通りです。2月の冬季休暇真っ只中、しかも直前に決めたので1泊だけ宿泊できるところを探すのも難しくて土曜日のみの日帰り。滞在時間は短めですが、それでも満足な滞在でした。
- 往路:Lyon Part Dieu 7:50発 〜 Bourg Saint Maurice 11:38着
- 復路:Bourg Saint Maurice 18:38発 〜 Lyon Part Dieu 22:10着
具体的な時刻は、SNCFのウェブサイトSNCF connectまたはTER Auvergne-Rhône-Alpesで調べることができます。なお、本数は多くないので注意しましょう。
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パリからのアクセス
スキーシーズンの週末には、パリから直通のTGVが運行します。パリ・リヨン駅(Paris Gare de Lyon)からブール・サン・モーリス(Bourg Saint Maurice)駅までTGV INOUIで約5時間、シャルルドゴール空港ターミナル2駅からは OUIGOで5時間半ほどです。
具体的な時刻は、SNCFのウェブサイトSNCF connectで調べることができます。なお、TGVは全席予約制なので、早めに予約することをお勧めします。
スキー場内の移動
Les Arcsスキー場内は無料のシャトルバスが運行しています。標高差のある広大な敷地ですが、ゲレンデ間を移動するのもシャトルバスを利用すれば問題ありません。Les Arcsのゲレンデは、Arc 1600、Arc 1800、Arc 1950、Arc 2000の4つ。ケーブルカーが到着するArc 1600からは、Arc 1800行きとArc 1950経由のArc 2000 行きの2ルートがあります。ちなみに、4桁の数字はゲレンデの標高を指しています。
スキー場「Les Arcs」で雪の中をお手軽ハイキング
20代の頃は頻繁にスノーボードをしに出かけていた私ですが、ウィンタースポーツはすっかり卒業。もうスキー場へ行くことはないと思っていたのですが、スノーシューでのハイキングのお試しのために来ることになりました。久しぶりに一面の雪景色を目の前にすると、また滑ってみたくもなりましたが、今回の目的はあくまでもスノーシュー。
冒頭でもお話したように、普通の雪山でハイキングをしようと思うと危険も多く、雪山に慣れていない人にはガイドなしで出かけることはおすすめできません。しかし、スキー場内のハイキングコースであれば、きちんと整備されているゾーンにとどまっている限りは比較的お手軽にできるのです。なお、スキーのコースと徒歩用のコースが交差する箇所もありますので、横断するときはスキーヤーに十分注意しましょう。
Les Arcsには10つのハイキングコースがあり、初級者から中級、上級者向け、スノーシューの要・不要など種類も様々です。その中で今回試したのが、「Arc 1950 / 2000 vers le lac(Boucle de la retenue collinaire des adrets)」というコース。ケーブルカーのArc 1600駅の近くから、シャトルバスでアクセスできるArc 1950またはArc 2000のゲレンデが出発点になります。Arc 2000から出発すると総距離4.2km、高低差約100m、所要時間はゆっくり歩いて約1時間です。ハイキング用GPSアプリをお使いの方は、Savoie Mont Blanc 観光局のウェブサイト(フランス語)から、GPXファイルを無料ダウンロードして使うこともできます。
このコースを歩いてみた感想を一言でまとめるなら、「難しい道を歩かずに絶景を見られるコース」でしょうか。コースの前半はゲレンデの端に整備された歩行者道を通るのでスキー場内にいる感たっぷりですが、後半は数人のスキーヤーとすれ違っただけで、壮大な雪景色をまさに独り占めするような気分になれました。
参考までに、この日の私の行程をご紹介しておきます。
- ≫ リヨン・パールデュー駅 → ブール・サン・モーリス駅 / TER
- ≫ ブール・サン・モーリス駅 → Arc 1600 / ケーブルカー
- ≫ Arc 1600でスノーシューをレンタル(1ペア10ユーロ、トレッキングポール込み)
- ≫ Arc 1600 → Arc 2000 / 無料シャトルバス
- ≫ Arc 2000を拠点に雪上ハイキング
- ≫ Arc 2000のゲレンデにあるカフェのテラスでアペロ
- ≫ Arc 2000 → Arc 1600 / 無料シャトルバス
- ≫ スノーシュー返却
- ≫ Arc 1600の村内のカフェでクレープのおやつ
- ≫ Arc 1600 → ブール・サン・モーリス駅 / ケーブルカー
- ≫ ブール・サン・モーリス駅 → リヨン・パールデュー駅 / TER
土曜日のみの日帰りですが、なかなか充実したスケジュールでした。帰りのケーブルカー乗り場が大混雑していて、電車に乗り遅れるんじゃないかと少しヒヤヒヤしましたが、それ以外は慌てることもなくのんびりと過ごせましたよ。
Les Arcsのその他のハイキングコースは、公式サイトに紹介されています。また、Les Arcsの冬のアクティビティのパンフレットには地図付きで紹介されており、こちらも参考になります。各コースの説明の欄に、レベルや目安の所要時間、スノーシューが要るかどうかも書かれていますよ。
スキー場での雪上ハイキングに持っていくべきもの
スキーへ行く時はそれ用の装備をするのと同様、スキー場内でのハイキングでも装備は必要です。私が今回持って行ったものをリストアップしておきますので、出かける際は参考にしてくださいね。ちなみにこの日は、日中の気温はマイナス6度ほどでした。
また、フランスへ旅行中で、必要な装備を日本から持ってきていない場合でも、ほとんどのものは現地調達できます。出かける前に街のスポーツショップで揃えていくのがおすすめです。ちなみに私はリヨン市内のデカトロンやGo Sport、Au Vieux Campeurなどをよく利用しています。
服装
- ハイキング用の防風・防水ジャケットとパンツ(スキー・スノボウェアでもOK)
- 重ね着(速乾下着、ヒートテック長袖Tシャツ、フリース、ヒートテックレギンス)
- 防水のハイキングシューズ(必須)
- 冬用ハイキングソックス(スキー用でもOK)
- ニット帽
- ネックウォーマー
- 冬用ハイキング手袋(スキー用でもOK)
- 薄手のタッチスクリーン手袋
- サングラス
これ以外に、念の為フリース1枚と簡易レインコート、レッグウォーマーを持って行きましたが、結果的には使いませんでした。深い雪の中を歩くことになるため、靴が防水でないと中まで水が染みて足の指が凍傷になる危険もあります。ハイキング初心者が何よりもまず靴を揃えるのと同様、雪上ハイキングには防水靴が必須です。
付属品など
- 登山用リュックサック(歩行中に両手が自由に使えるようにするため)
- 保温マグ
- 軽食(シリアルバーやチョコレートなど)
- 日焼け止めクリーム
- スマホ(GPSアプリ利用のため)
- スマホ充電用バッテリー(気温が低いとバッテリーの減りが早いので必須)
- トレッキングポール
- ゲイター
- 愛用のミラーレス一眼レフカメラ
今回は使いませんでしたが、軽アイゼンも念のため持っていきました。雪が固まっている場所を歩く場合などに非常に便利です。
なお、スノーシューはArc 1600にあるスポーツ用品ショップでレンタルしました。Arc1600にはスキーやスノーシューなどをレンタルできるショップがたくさんあります。Les Arcsのウェブサイトでショップ検索もできるので参考にしてください。