
フランスの運転免許証を取得するには?日本の免許証から切り替え申請の場合
この記事の目次
フランスで運転するには
フランスで車を運転するのに必要な免許証や書類などは、どんな身分でフランスに滞在しているかによって異なります。
観光の場合
観光目的でフランスに滞在している場合、日本で発行された国際免許証と日本の免許証を携帯することで、フランスで運転をすることができます。
国際免許証の発行は、免許証に登録されている住所を管轄する運転免許試験場または運転免許更新センターでされ、基本的には申請した当日に交付されます。必要書類は、有効な運転免許証、写真、パスポート、手数料です。申請ができる日時や書類の内容など、詳細は管轄の運転免許試験場または運転免許更新センターへお問い合わせください。
学生ビザで滞在中の場合
学生ビザでフランスに滞在中の場合は、日本の運転免許証とその法廷翻訳を携行することでフランス国内で運転することができます。
フランス政府のウェブサイトには明記されていませんが、学生ビザの他に、滞在許可証 Recherche d’emploi ou création d’entreprise の場合も、同じ扱いとなります。実は私は、学生からRecherche d’emploi ou création d’entrepriseに身分が変わった時に一度切り替え申請をしたのですが、この滞在許可証では切り替えができないとの理由で却下されました。
その他の滞在許可証でフランスに住んでいる場合
長期ビザや滞在許可証を持ってフランスに住んでいる場合、入国後1年以内は日本の免許証とその法廷翻訳を携行することで運転することが許されているようです。しかし1年経過後もフランスで運転をし続けるには、フランスの運転免許証に切り替えをしなければいけません。切り替え後に交付されるフランスの運転免許証の有効期間は15年で、その後は更新をします。
このフランスの運転免許証への切り替えは、フランスに住所を定めてから、つまりフランスに入国してから1年以内にする必要があります。ちなみに、学生ビザで入国し、その後その他の滞在許可証(就労やVie Privée et Familialeなど)に身分変更した場合は、身分が変わった日から起算して1年以内が申請期限となります。
私は昨年11月にRecherche d’emploi ou création d’entrepriseからVie Privée et Familialeに身分変更をしたため、フランスの運転免許証への切り替えをしました。その体験談も含めてご紹介します。
日本の運転免許証をフランスの免許証に切り替えるための条件
日本の運転免許証をフランスの免許証に切り替えをするには、一定の条件があります。主な条件は以下の通りです。
- フランスに本居を定めていること。これを証明するには、フランスの滞在許可証(学生などは除く)を提示すればよいようです。
- フランスに本居を定めてから1年以内だということ。
- フランスと協定を結んでいる国が発行した有効な運転免許証を持っていること。(日本はフランスと協定を結んでいます。)なお、その運転免許はフランスの滞在許可証の発効日以前に取得したものである必要があるそうです。
- フランスで車を運転をすることが許可されている年齢に達していること。(フランスでは17歳以上なので、日本の普通自動車免許証を持っている人は全員この条件を満たしています。)
- 免許停止や取消しの措置を受けていないこと。
- フランスで免許取消しの措置を受けたことがないこと。

日本の運転免許証をフランスの免許証に切り替える手続き
2020年8月から、フランスの運転免許証への切り替え申請はオンライン化され、以前のように予約を取って県庁へ出向いたりする必要がなくなり、便利になりました。
手続きをするサイト上で手順に従って進めていけばいいため、複雑ではありませんが、オンライン手続きの大まかな流れもご紹介しておきます。
なお、オンライン手続きを始める前に、全ての必要書類を準備しておく必要があります。必要な書類については、次の項でお話しします。
- ANTSのウェブサイトでアカウントを作成する。(すでにアカウントを持っている場合はログインする。)
- 自分のアカウントページで、Nouvelle demande → Le permis de conduire →
Je commence la demandeの順にクリックして手続きを開始する。 - 申請目的「Je demande l’enregistrement ou un échange de mon permis de conduire étranger.」を選び、必要な個人情報などを入力する。
- 事前に取得しておいた「photo – sinagture」のコードを入力する。(郵送で証明写真を送る方法もありますが、photo – sinagtureの方が早くて便利なのでおすすめです。)
- 必要な証明書類をアップロードする。
- 入力内容に誤りがないか確認し、申請を確定する。
- ANTS(Agence Nationale des Titres Sécurisés)の担当者が審査をし、追加書類が必要な場合はSMSとEメールでお知らせが来る。
- 申請内容の審査が終わると、日本の運転免許証原本を指定の住所へ送るようSMSとEメールで指示が来るので、ANTSのウェブサイトの自分のアカウントページから添付書類をダウンロード、プリントして免許証原本とともに受領証明付き書留郵便で送る。
- ANTSが免許証原本を受領後、最終審査が行われ、問題なければフランスの運転免許証が受領署名付き郵便で申請時に登録した自宅住所宛に発送されます。
なお、日本の運転免許証原本を送るよう指示が来る時に、同時にAttestation de Dépôt Sécuriséという証明書もダウンロードするように説明があります。日本の免許証を発送してからフランスの免許証を受領するまでの間、この証明書を携帯することで車を運転することができます。
日本の運転免許証をフランスの免許証に切り替えるために必要な書類
私が日本の運転免許証からフランスの免許証へ切り替えをした際に必要だった書類は次の通りです。
- パスポートのコピー(顔写真のあるページ)
- 滞在許可証のコピー両面
- 6ヶ月以内に発行された住居証明(私は前月の家賃の請求書を提出しました。)
- photo-signature(詳細は下記参照)
- 有効な日本の運転免許証(オンライン申請時は両面のコピー、後日指示があってから原本を郵送)
- 6ヶ月以内に発行された在仏日本領事館による日本の運転免許証の有効性に関する証明書 (Attestation des droits à conduire)
- 日本の運転免許証のフランス語法廷翻訳(在仏日本領事館発行の自動車運転免許証明。法廷翻訳家に依頼をしてもよい。)

私は上記に加えて、以前の運転免許証の法定翻訳も追加書類として後日提出しました。というのも、コロナ禍で日本へ一時帰国できないでいるうちに日本の運転免許証の期限が切れてしまい、その後一時帰国した際に再交付したため、免許証上に書かれている取得日が再交付の日付になってしまいました。再交付された免許証からの切り替え申請だったため、実際の免許取得日とフランスの滞在許可証発行日との前後関係を確かめるためだったようです。運良く、以前の免許証の法定翻訳を手元に持っていたので、事情を説明したレターと共にそれを提出し、受付けられました。ない場合は恐らく、日本から運転経歴証明などを取り寄せてフランス語に法定翻訳し、それを提出する必要があるのではないかと思います。
photo-signatureとは
photo-signature(またはePhoto)とは、運転免許証の発行や更新申請をする際に、証明写真と署名をデータ化してANTSに提出するというものです。ANTSから認定された写真屋さんやメトロの駅などにある証明写真機フォトマトン(ePhoto対応のものに限る)でのみ撮ることができます。
証明写真を撮るのと同時に、備え付けのタブレットに電子署名をします。それがANTSのデータベースに登録され、数字とアルファベットが混ざった22桁のコードが発行されます。オンライン申請時にはこの22桁のコードを入力するだけです。
余談になりますが、私は証明写真を写真屋さんで撮るか、フォトマトンで撮るか、いつも悩みます。フォトマトンは写真屋さんより便利で料金も安いのですが、欠点もあります。フランスの証明写真は細かい規定があり、これを満たしていないと再提出になるのです。顔のサイズなどはもちろんのこと、例えば笑顔は不可とい規定もあります。自分では笑顔のつもりはないのに受付する人が笑顔とみなせば再提出。多くの証明写真を撮っているプロの写真屋さんなら、必ず規定に合った写真に仕上がりますが、フォトマトンではそうはいかないのです。

実は今回の免許証用のphoto-signatureは、写真屋さんでもフォトマトンでもなく、Smartphone iDというスマホアプリを利用して撮りました。ANTSの認証を受けている証明写真アプリで、1回5ユーロという低料金ながら、AIと人の目で撮った写真が既定に合っているかのチェックもしてくれるので、再提出になる心配もありません。スマホ上に電子署名をするのだけは少し苦労しましたが、それ以外はとても簡単にできました。
フランスの免許証を取得するまでにかかる期間
フランス政府のウェブサイトには、手続きにかかる期間は申請時に提出する書類の内容によっては数ヶ月かかることがあると書かれています。私の場合は、申請してから5ヶ月半くらい経ったころに追加書類の提出依頼があり、申請後約6ヶ月半でフランスの免許証を手にすることができました。
私がフランスの運転免許証に切り替え申請した際の流れ
参考までに、私が申請時した際の流れを、具体的な日付とともに記しておきます。
4月19日
在リヨン日本領事事務所の窓口で証明書(自動車運転免証明と日本の運転免許証の有効性に関する証明書)の発行依頼
4月22日
在リヨン 日本領事事務所の窓口で証明書受領後、自宅でオンライン申請
9月20日
SMSでまだ審査中というお知らせあり。
10月13日
SMSとEメールで追加書類提出の依頼
10月14日
追加書類(運転免許証上に記載された交付日と実際の免許取得日が異なること及びその理由を説明したレターと、以前の免許証の法定翻訳)をANTSのウェブサイトの自分のアカウントページからアップロード
10月21日
日本の運転免許証の原本をナントのCERT EPEへ郵送するようSMSとEメールで指示あり。
10月21日
配達証明付き書留郵便(Lettre recommandée avec accusé de réception)で日本の運転免許証原本を発送
10月26日
CERT EPEが日本の免許証原本を受領したことを郵便局ウェブサイトの追跡機能で確認
10月27日
ANTSから郵便でフランスの運転免許証発送
11月3日
フランスの運転免許証を無事に受領


6件のコメント
石ころ
わかりやすいまとめ、参考になります。
一点お伺いしたいのですが、フランス免許証が発送された際はANTSから何か通知はありましたか?
私は現在フランス免許証の申請中で、既に日本の免許証原本は指定住所に送っていますが、配達証明を受け取って以降音沙汰がないので、あちらからは発送されたものの届かずに紛失したのではないかと心配しています。
Yuko
石ころさま
ありがとうございます。
フランスの免許証発送の際には、ANTSからは何の連絡もなく、ある日突然届きました。
私も郵便局から受領証明が来た後、ANTSからは何の通知もなかったため、実際に免許証を手にするまで不安だった記憶があります。
石ころ
ご返信ありがとうございます。
もう一点、もしわかれば教えて下さい。
フランス免許証受領後、オンラインアカウント上のステータスは変わりましたでしょうか?(例えば、「完了」など)
Yuko
オンラインアカウント上のステータスが変わったかについては、恐れ入りますが記憶がありません。
先ほど過去のメールを見てみたら、日本の免許証原本を送付後にこんな内容のメールが来ていました。
Votre demande en ligne n°xxxxxxxxxx relative à votre permis de conduire a été acceptée.
Dans le cas d’une demande de fabrication d’un permis de conduire, il vous sera adressé sous 15 jours.
石ころ
お礼のお返事するのを失念しておりました。
わざわざご確認いただきましてありがとうございました。
今だに音沙汰ありませんが、根気強く待ちたいと思います。
Yuko
ご丁寧にありがとうございます。
無事に免許証が届きますように。