フランス公的機関の手続き

フランスで就職活動をするための滞在許可証

フランスで働くシチュエーション

フランスが好きな人なら、一度は「フランスで働く」ということを考えたことがあるかもしれません。一言にフランスで働くと言っても、様々なシチュエーションがあります。日本人の場合、企業に雇われて働くのであれば、主なものとしては以下のようなシチューエーションが考えられます。環境や状況などは人それぞれなので、もちろん下記以外の場合もあるでしょう。

  • 現地企業に社員として就職
  • 日本企業の駐在員
  • ワーキングホリデー
  • 留学中のアルバイト
  • 留学後に現地企業へ就職

この記事では、最後に挙げた「留学後に現地企業へ就職」するための条件などについてご紹介していますが、本題に入る前に、他のケースについても簡単にみてみましょう。ちなみに、企業に雇われて働く以外にも、フリーランスとして働いたり、起業するというケースもありますが、この記事では雇用契約のみに限定しています。

現地企業に社員として就職

日本で企業に就職するのと同じように、フランスの企業に社員として雇用されるケースですが、二通りのシチュエーションが考えられます。日本にいながら就職活動をして採用され、就労ビザを取得して渡仏する場合。そして、フランス在住で就労可能な滞在許可書を所持している場合です。フランスでは、就労可能な滞在許可書を所持していない外国人を雇うのには様々な条件があるため、雇用主にはかなりの負担となります。そのため、前者の場合は、よほど突出した技能などを持っていないと難しいかもしれません。

日本企業の駐在員

駐在員としてフランスで働くためには、フランスに子会社や関連企業を持っている日本の会社に就職する必要があります。会社により条件は様々ですが、フランスなど人気の国への出向は、社内での競争率が高いことも考えられます。また多くの場合、3年程度の期間限定となります。

ワーキングホリデー

2021年3月15日現在、新型コロナウィルスの影響で、フランスのワーキングホリデービザの申請受付は中止されています。在日フランス大使館ウェブサイトより)

ワーキングホリデーとは、18歳〜30歳未満(ビザ申請時の満年齢)の若者に限り申請ができる1年間有効、更新や現地での滞在身分変更は不可なビザです。在日フランス大使館ウェブサイトによると、「フランスと日本の若者の国際交流を促し、互いの親交および理解を深めることを目的」としたものだとされています。

ワーキングホリデービザ所持者は、フルタイムでの労働ができるので、1年間の滞在中はフランスで働くことが可能です。

留学生として滞在中のアルバイト

学生ビザを取得して留学する場合、学費や生活費の足しにするために働くことが認められています。しかし、学生ビザ保持者の本業はあくまでも学業。フルタイム労働者の60%を上限とするパートタイムでの就労、具体的には年964時間までと定められています。

ちなみに私は、大学院の授業がある期間は課題に終われ、時間的にも精神的にもアルバイトをしている余裕などありませんでした。その代わりに、休暇中に季節労働契約でワイナリーでの葡萄収穫の仕事や、日本人観光客のアテンドの仕事などをしました。お給料は、生活費の足しにもなりますが、何よりも外国で働いてみるのはいい経験になるというのが率直な感想です。

フランス留学後に現地企業へ就職するには

フランスでの学業終了後に現地企業へ就職するには、主に以下の2つのケースが考えられます。

  • 在学中から就職活動をして雇ってくれる企業を見つけ、滞在許可証の身分を「学生」から「就労者」へ変更する。
  • 学業終了後に、「学生」から就職活動をするための滞在許可証に切り替えて就職活動をする。

前者の場合には、学生として通っていた学校についての制限はありません。しかし、就労できる身分の滞在許可証を持っていない外国人を雇用するのには様々な条件があるため、企業側にとって負担が大きく、よほど突出した技能などがない限り、簡単な道ではありません。

後者の就職活動をするための滞在許可証を申請するには、フランスの高等教育機関で修士号または同等のディプロム、あるいは職業学士号(licence professionnelle)を取得する必要があります。詳しくは次の章でご紹介します。

フランスで就職活動するための滞在許可証とは

フランスで就職活動をするための滞在許可証の正式名称は、「Carte de séjour temporaire Recherche d’emploi – création d’entreprise(就職活動または会社設立)」です。

この滞在許可証は1年有効で更新は不可ですが、条件を満たす企業への就職が決まれば、「就労者」身分の滞在許可証の申請をすることができます。CDI(無期限雇用契約)の場合は「Salarié」、CDD(期間限定雇用契約)の場合は「Travailleur tempolaire」となります。

フランスで就職活動をするため滞在許可証を取得するための条件

「滞在許可証 – 就職活動または会社設立」の申請には、主に下記の2つの条件があります。

  • 「学生」身分の滞在許可証でフランスに滞在している(または滞在していた)こと。
  • フランスの高等教育機関で次のいずれかのディプロムを取得していること。
    • 職業学士号
    • 専門修士号
    • グランゼコールの理系修士号
    • 修士号レベル以上のその他のディプロム

ディプロム取得後そのままフランスに残り、滞在許可証の身分を「学生」から変更するのが多数派のようですが、滞在許可証の有効期限が切れ、一度フランス国外へ引っ越しをしても、ディプロム取得から4年未満であれば申請することができます。

参照:フランス内務省ウェブサイト

※情報は、2021年3月現在のものです。申請を検討される場合は、必ずフランス政府またはお住まいの県の県庁のウェブサイトなどで最新の情報をご確認下さい。

フランスで就職活動するための滞在許可証の申請方法

主な申請の流れは以下の通りです。2020年にローヌ県庁(リヨン)で申請をした私のケースの詳細は、この章の後半でご紹介します。

  1. 必要書類を揃え、県庁へ提出する。
  2. 書類審査完了までの一時滞在許可証となるレセピセを受け取る。
  3. 許可が下りれば、手数料分の電子小切手と引き換えに、滞在許可証を受け取る。

なお、申請後4ヶ月経っても県庁から何の連絡もない場合は、申請却下となったとの解釈になるようです。

申請に必要な書類

2021年3月現在、滞在許可証「学生」でフランス在住の場合の申請に必要な書類は以下の通りです。

  • 有効なパスポート
  • 有効な滞在許可証
  • 出生証明書(戸籍抄本の写しを元に、在仏日本大使館または領事館で発行可能)
  • 規格に則った証明写真3枚(ISO/IEC 19794-5規格
  • 取得したディプロム
  • 健康保険の証明書(ameli.fr でダウンロード可)
  • 3ヶ月以内に発行された住居証明
  • 会社設立の場合は計画書
  • 手数料75ユーロ分の電子小切手(滞在許可を受け取る際に必要)

参照:フランス内務省ウェブサイト

※情報は、2021年3月現在のものです。申請を検討される場合は、必ずフランス政府またはお住まいの県の県庁のウェブサイトなどで最新の情報をご確認下さい。

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申請時にディプロムがまだ手元にない場合

学生身分の滞在許可証は、学校への登録期間に合わせて発行されます。大学または大学院への留学の場合、多くの学生の滞在許可証の有効期限は10月末となっています。しかし、論文の口頭発表が終わった後、大学内の審査委員会による審査があったりと、ディプロム授与までは何かと時間がかかります。そのため、10月末時点でディプロムが手元にないということも稀ではありません。そんな場合でも、学生の滞在許可証の有効期限が切れてしまう前に手続きを進めていくことができます。

論文の口頭発表が終わり、ディプロム所得が内定している場合

大学にディプロム取得が内定している旨の証明書「Attestation de réussite définitive au diplôme」を発行してもらい、ディプロムの代わりに提出します。

論文の口頭発表の日が、学生の滞在許可証の有効期限後の場合

私はこのケースに該当しました。2020年のローヌ県の場合、申請時には、大学からの口頭発表の日付を明記したレターを提出、後日「Attestation de réussite 」を追加書類として提出するという流れでした。

管轄の県庁によっては、学生身分の滞在許可証の延長申請をし、レせピセが発行されることもあるようです。県庁により対応が異なるため、必ず滞在許可証の有効期限が切れる前に、問い合わせをしましょう。

2020年ローヌ県(リヨン)で申請の場合の流れ

新型コロナウイルス感染拡大に伴う臨時措置のため、通常の申請の流れと違う部分があります。また、申請方法はお住まいの県により異なります。

私が実際に、ローヌ県庁(リヨン)で申請をした際の流れを時系列でご紹介します。なお、本来は、9月〜11月の3ヶ月間のみ開設される外国人学生のための手続き窓口「Students Welcome Desk」へ申請書類を提出するはずでしたが、2020年は新型コロナウィルス感染拡大に伴い、オンライン申請となりました。今後オンライン申請が続くのか、窓口での申請に戻るのかは、現在のところ未定です。

Student Welcome Deskへ問い合わせ (9月初旬)

滞在許可証の更新または身分変更の申請は、有効期限の2ヶ月前から期限が切れる前の間にする必要があります。私の学生の滞在許可証の有効期限が10月31日、修士論文の口頭発表が11月25日だったため、「就職活動または会社設立」への身分変更を申請できるのか、「学生」の更新をすべきなのか不明な状況でした。そこで、県庁へ問い合わせをすることにしました。

リヨンでは、「就職活動または会社設立」の申請も、Student Welcome Desk開設期間はそちらが担当窓口となっています。電話で問い合わせたところ、大学に下記2点を明記したレターを発行してもらい、修士2年の前期の成績表と共に提出するようにとの指示を受けました。

大学からのレターに明記してもらうよう指示があった内容は、

  • 修士論文の口頭発表の日付。
  • 新型コロナウィルス感染拡大の影響で、2020年は修士2年の後期が12月まで延期になったこと。

上記2点です。

オンライン申請 (2020.9.23)

大学からレターを受け取った後、「demarches-simplifiees.fr」のサイト上でアカウントを作成、必要書類をアップロードして申請をしました。

「demarches-simplifiees.fr」は、滞在許可に限らず、各種オンライン手続きのために、フランス政府が開設したサイトです。各手続きごと、管轄機関ごとにURLが異なるため、こちらへのリンクの掲載は省略します。なお、オンライン手続きとなる場合は、県庁のウェブサイトの該当ページにリンクが掲載されています。

県庁から書類の審査開始の連絡 (2020.10.16)

申請から約3週間後に、県庁からメールが届きました。内容は、申請を確かに受領したこと、書類の審査を開始するとのこと、その2点のみでした。

窓口での申請の場合、書類が受領されるとレセピセが発行されます。レセピセは、新しい滞在許可証が発行されるまでの間に身分証明書の提示を求められた場合、不法滞在などをしていないことを証明する役割があります。しかし、今回のオンライン申請ではレセピセの発行はありませんでした。

修士論文の口頭発表 (2020.11.25)

修士論文の口頭発表後、その場で担当教授から合格の旨を伝えられました。

その後大学の事務へ連絡し、県庁へ提出するレターの発行をしてもらいました。県庁から追加書類として指示があったのは「Attestation de réussite」ですが、審査委員会が開かれ、内定が出るまでは証明書の発行ができないとのこと。修士論文の口頭発表に合格、12月の審査委員会で正式にディプロム取得が決まる旨のレターを発行してもらいました。

大学発行の修士論文口頭発表合格のレターを県庁へ提出 (2020.11.26)

「demarches-simplifiees.fr」のサイトで進行中の申請には、サイト上で該当機関との連絡ができる機能があります。それを利用して、大学に発行してもらったレターを送付しました。

大学内の審査委員会にてディプロム取得確定 (12月中旬)

12月中旬に審査委員会が開かれ、無事にディプロム取得が決定しました。そこで、大学の事務へ再度連絡を入れ、「Attestation de réussite」を発行してもらいました。

「Attestation de réussite 」を県庁へ提出 (2020.12.16)

前回送ったレターに対して、県庁からの返事などは一切ありませんでしたが、同じ要領で「Attestation de réussite」を送付しました。

県庁から滞在許可証の認可の連絡 (2020.12.26)

県庁から、「demarches-simplifiees.fr」のサイト上に、「就職活動または会社設立」の滞在許可証申請が認可されたた旨のメッセージが届きました。滞在許可証のカードが出来上がったら再度連絡をするので、それまで待つようにとのこと。

なお、サイトに登録してあるメールへもメッセージのコピーが送られてくるので、サイトを毎日チェックする必要はありません。

県庁からSMSで滞在許可証カードの準備ができた旨の連絡 (2020.2.8)

認可の連絡が来てから1ヶ月以上経ち、少し不安になり始めていた頃に、カードが出来上がった旨の連絡がSMSにて届きました。 この連絡はSMSでのみ送付され、サイト上のメッセージやメールでは送られてこないので、注意が必要です。

ちなみに、昨年の学生の滞在許可証更新の際、 県庁のSMS送信システムに不具合があり、カードが出来ているのに連絡が来ないということがありました。その時は、県庁からの2度目の連絡などはなく、私から問い合わせをして発覚しました。あまりにも連絡がない期間が長くて不安な場合は、問い合わせをしてもいいかもしれません。

ウェブで受領のための県庁来館予約 (2020.2.10)

県庁からのSMSには、カードの受領には来館予約が必要との指示があり、予約用のURLも記載されていました。早速予約しようと思ったのですが、全く空きがありません。その日は諦め、翌日再度サイトを見てみると、1日だけ空いている日が。しかし、空いているのはなんと1ヶ月後でした。仕方ないので1ヶ月後に予約を取りました。

その後、時々予約サイトをチェックするようにしましたが、これより早い日に空きが出ることもなく、カードは出来ているのに無駄に1ヶ月待つこととなりました。

滞在許可証受領 (2020.3.9)

ようやく予約の日。予約時間より15分ほど早く県庁へ着きましたが、以前のような行列もなく、来館予約をしていて早めに着いた人が建物の前で待っているのみ。予約時間ごとに、警備員に案内され館内へ入ります。

入館後は、入り口にある機械に予約時に発行されるQRコードをかざして番号札を受け取り、呼ばれるまで待ちます。窓口では、古い滞在許可証のカードと、手数料分の電子小切手の証明を提出して、カードを受け取るのみ。予約時間から1時間も経たずに終了しました。

コロナ禍での就職活動

無事に「就職活動または会社設立」の滞在許可証を取得しましたが、コロナ禍での就職活動、しかも観光業となるとかなりの苦戦状態です。

滞在許可証の有効期限は12月下旬なので、それまでに条件を満たす職を見つけられるといいのですが、とりあえずはストレスを溜めすぎず、無理をしない程度に就職活動をしている状況です。

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