ボジョレーヌーヴォー
リヨンのおいしいもの

リヨンで楽しむ2021年ボジョレー・ヌーヴォー

ボジョレ・ヌーヴォーとは

毎年11月中旬になると、日本でも「ボジョレー・ヌーヴォー解禁」というフレーズをあちらこちらで目にしますよね。ボジョレー・ヌーヴォー(Beaujolais nouveau)とはフランス・ボジョレー地区の新酒ワインで、11月の第3木曜日に発売されるということは、多くの方がご存じでしょう。しかしその歴史や、そもそもボジョレーワインって何なのか、フランスではどのように祝うのかなどについてとなると、ワイン通の人以外にはあまり知られていないのではないでしょうか。

ボジョレーワインファンと自称しておきながら、実は深い知識もなく、ただ美味しく飲むだけだった私。しかし、今年のボジョレー・ヌーヴォー解禁を前にし、せっかくならもっと知りたいと思い立ち少しだけ勉強してみました。自分の備忘録も兼ね、その一部をこちらに記しておきたいと思います。

ボジョレーヌーヴォー

ボジョレー・ヌーヴォーとは、原料のぶどうが収穫された年の11月の第3木曜日から12月15日までの間に出荷される新酒のボジョレーワインです。それ以降に出荷されるボジョレーワインには「ヌーヴォー」の表記がされません。では、この「ボジョレーワイン」とは何なのでしょうか。

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ボジョレーワインとは

ボジョレーワインとは、文字通りフランスのボジョレー地区で生産されるワインです。ボジョレー地区はブルゴーニュ南端に位置するマコンと美食の都リヨンの間に位置するワイン生産地域で、リヨンを県庁とするローヌ県の北部およびマコンを県庁とするソーヌ・エ・ロワール県の南端部分にあたります。(行政区画上はボジョレーという地域は存在しません。)

ボジョレーで作られるワインの約95%は赤ワインです。ボジョレー地区の総収穫量の約97%を占めるガメイというブドウ品種から作られ、チェリーやブルーベリー、イチゴなどの赤系果実の香りのフルーティーで、タンニンが少ないワインが多いことが特徴です。非常に少数ですが、ロゼワインや、シャルドネなどの白ぶどうから白ワインを作っている生産者もいます。

ボジョレー地区で生産されるワインは、実は12のアペラシオン(原産地呼称)に分かれていて、そのうち「ボジョレー(Beaujolais)」と「ボジョレー・ヴィラージュ(Beaujolais Village)」の2つの広域アペラシオンのみにヌーヴォーの販売が許可されています。それ以外の10のアペラシオンは、「クリュ・デュ・ボジョレー」と総称され、それぞれ特徴のある質の高いワインの生産地として注目を集めていますが、本題から少し逸れてしまうので詳細は割愛します。

ボジョレー

ボジョレ・ヌーヴォーの歴史

今ではすっかり11月の風物詩として定着したボジョレー・ヌーボーですが、その誕生は1951年まで遡ります。醸造が終わったばかりの新酒をカフェやレストランなどで出すという習慣はそれ以前からありましたが、同年9月8日の政令により、AOC(原産地統制呼称)ワインの新酒の販売は12月15日以降しか認めないと定められました。しかし、ボジョレーのワイン生産者たちは、これに猛抗議します。その努力の甲斐あり、新酒(Nouveau)だと明記して通常のワインとは明確に区別することを条件に、特定のAOCワインに限っては解禁日を11月13日に早める特例が出されました。ボジョレーはもちろんこの特定のAOCのひとつに指定されます。こうして「ボジョレー・ヌーヴォー(Beaujolais Nouveau)」の名前が誕生したのです。ちなみに解禁日はその後変更され、1967年には11月15日、1985年に現在の11月第3木曜日となりました。

今年70周年を迎えたボジョレー・ヌーヴォーですが、世界中で人気になりはじめたのは1980年代のことです。ボジョレー・ヌーヴォーの持つ可能性に注目した生産者が、巧みなマーケティング戦略を駆使し、世界各地への輸出と販売に成功したのです。「初物」に対する需要に上手く応えることができたボジョレー・ヌーヴォーは世界的なイベントとなりました。

中でも日本での成功ぶりは特に突出していて、現在でも全輸出量の約半分は日本へ出荷されています。時差の都合で、日本ではフランスより8時間早くボジョレー・ヌーヴォー解禁。世界で最も早く味わえる国の1つであるという特別感に加え、ガメイ種特有の赤系果実のようなフルーティー感が日本人の口にピッタリなことも成功の秘訣だと考えられています。

一時期は、この爆発的な需要に応えるために質より量が重視され、美味しくないと敬遠する人が増えてしまいました。しかし現在では、若手の生産者たちの努力により、美味しい新酒も多く出回るようになりました。「今年のボジョレー・ヌーヴォーの味は…」というフレーズもよく耳にしますが、作り手によって味は本当に様々というのが実情です。他のワインと同じく、何種類か飲んでみて好きな味を見つけるのも、また楽しいですよ。

ヌーヴォーとプリムール

この時期に発売されるワインで、「プリムール(Primeur)」と表記されたワインをご存じでしょうか。

11月の第3木曜に解禁されるのは、ボジョレー・ヌーヴォーだけではありません。ボジョレー以外の他のAOCワイン産地でも、この日に合わせて新酒を発売する生産者がいます。その新酒がプリムールと呼ばれるものです。

「ヌーヴォー(Nouveau)」と「プリムール(Primeur)」はどちらも新酒を意味する言葉で、どちらを使うかは生産者の選択に任されています。一般的に、ボジョレーでは「ヌーヴォー」、それ以外の地域では「プリムール」が使われることが多い傾向にありますが、もちろん決まりはありません。ちなみに、法律上はヌーヴォーは翌年の収穫前までに瓶詰めされたワイン、プリムールは収穫後最初の春前までに瓶詰めされたワインのことを指します。しかし、11月第3木曜日に既にボトルに入った状態で消費者の元に届くということは、翌年の収穫前かつ収穫後最初の春よりも前に瓶詰めされている ので、ヌーヴォーもプリムール、どちらの表記も使えるわけです。

ボジョレーヌーヴォー

なお、フランスの全てのAOCワインがこの11月第3木曜日に新酒を発売できるわけではなく、法律で認められているAOCのみとなります。参考までに、リストの一部引用を掲載しておきます。

11月第3木曜日に新酒解禁が許可されているAOCの一例

  • Beaujolais / Beaujolais Villages (赤、ロゼ)
  • Côtes du Rhône (赤、ロゼ)
  • Coteaux du Lyonnais(白、赤、ロゼ)
  • Bourgogne aligoté (白)
  • Mâcon / Mâcon Villages(白、ロゼ)
  • Touraine(ガメイ種の赤、ロゼ)
  • Anjou(ガメイ種の赤)
  • Rosé d’Anjou(ロゼ)
  • Muscadet(白)

参考:Dico du Vin (フランス語サイト)

2021年:フランスのワイン生産者にとって苦難の年

2021年のフランスは、春の遅霜や冷夏、過剰な降雨量など、ブドウの生育にとって望ましくない気候の1年でした。ボジョレーも例外ではなく、収穫量は例年よりも落ち込む結果となりました。ブドウ生産者たちの努力、そして収穫直前の時期には好天の日が続いたため、ブドウの質は保たれたそうです。

日本での今年のボジョレー・ヌーヴォーのキャッチコピーは「挑戦の末たどり着いた、納得のヌーヴォー」、まさにその通りのワインだと言っていいのかも知れません。

私も約10種類のボジョレー・ヌーヴォーを試飲しましたが、生産者により味は本当に様々でした。そのうち何種類かは、ガメイ種特有のフルーティーさをたっぷり感じる、まさに私の好みのヌーヴォーでした。

ボジョレー

リヨンでボジョレー・ヌーヴォーを楽しむ

フランス4年目の私ですが、昨年までは大学の授業や試験、修士論文の口頭発表準備など、とても忙しい日々を送っていたため、ボジョレー・ヌーヴォーを楽しむ余裕すらありませんでした。今年はようやく時間が取れそうだったので、解禁前にリヨンではどこへ行けばどのように楽しめるのか調べてみました。

ワインショップ

フランスには、どの街にもワインショップがたくさんあります。日本でいう酒屋さんのような感じですが、日本のような大型店舗はなく、どこも小型店舗でプロが対面で接客をしてくれます。

リヨンはボジョレーから近い大都市であるため、多くのワインショップがボジョレー・ヌーヴォー解禁に合わせて試飲会などを行っています。基本的に試飲は無料で、ワインのプロである店員さんが丁寧に解説をしてくれます。中には生産者をゲストに招いて試飲会をするショップもあります。

気に入ったものがあれば、もちろんボトルで購入できます。ちなみに私は、時々利用している自然派ワインショップ「Vins Nature」で6種類ほど試飲し、ボジョレー・ヌーヴォーを1本とコート・デュ・ローヌのプリムールを1本購入して帰りました。

Vins Nature

https://www.vinsnature.fr/

リヨン市内に3店舗あり

  • Terreaux店(リヨン1区):1 rue Désirée 69001 Lyon
  • Jean-Macé店(リヨン7区):34 rue Chevreul 69007 Lyon
  • Bellecour店(リヨン2区):6 rue du Plat 69002 Lyon
ボジョレーヌーヴォー

レストラン & ワインバー

リヨンの地方料理レストランやワインバーなどでも、もちろんボジョレー・ヌーヴォーを楽しむことができます。さらに、多くのレストランでは、特別メニューが用意され、ボジョレー・ヌーヴォーとのマリアージュがぴったりなお料理とともに味わうことができます。

どのレストランやワインバーでボジョレー・ヌーヴォーを楽しめるのかについての情報は、ボジョレー・ヌーヴォー特設ウェブサイトや各レストラン、バーのSNSなどで確認できます。

イベント

解禁日前日の第3水曜日の夜には、リヨンでもボジョレーの若手生産者が新酒の樽と共にパレードし、深夜0時になると樽を開けて新酒を振る舞うイベントが行われます。1996年から続くこのイベントですが、新型コロナウィルス蔓延の影響で、昨年に続き今年も開催中止となりました。来年こそは再開できることを祈るばかりです。

番外編:パン屋さん

今年の解禁日11月18日には、パン屋さんでもボジョレー・ヌーヴォー解禁を祝うのにぴったりなものを見かけました。解禁の週末限定の「Pain au Beaujolais(パン・オ・ボジョレー)」です。近所の3件のパン屋さんが、このパン・オ・ボジョレーを作っていましたが、どれもボジョレー・ヌーヴォーと一緒にいただけるような味に仕上がっていました。

ボジョレー パン
Boulangerie Les Frères Barioz

Le petit Gone au Beaujolais:ボジョレー・ヌーヴォーを生地に混ぜ込み、リヨン周辺の名物のロゼットというドライソーセージを入れて焼き上げたパン。

64 Rue Duguesclin 69006 Lyon

lesfreresbarioz.fr

Antoinette Pain & Brioche

Pain au Beaujolais:ボジョレーのドライソーセージとクルミを混ぜ込んで焼いた酵母パン。

15 Rue Hippolyte Flandrin, 69001 Lyon

www.antoinettepainetbrioche.fr

Boulangerie Miette

Pain au Beaujolais:ロゼット入りまたはヘーゼルナッツ入りのバゲット。

2 Rue de Sèze, 69006 Lyon

リヨンからボジョレー地区へ日帰り

解禁日直後の週末には、ボジョレー地区の多くのドメーヌが「Porte ouverte」というイベントを開催し、一般客を迎えて試飲 & 販売などをします。ドメーヌによっては、パートナーの農家や他の地方の生産者を招いた大規模なイベントをするところもあります。仲介のない直売でワインを購入できるので、ワインショップなどで購入するよりお値打ちなのもまた魅力です。

ボジョレー地区の南部は、リヨンから車で30分ほど。せっかくなら現地まで足を運び、この特別な週末の雰囲気を直に味わってみるのもおすすめです。車でないとアクセスが不便なボジョレー地区ですが、運転が難しい場合は、現地旅行会社主催のリヨン発半日ツアーを利用するのも便利です。

ボジョレーヌーヴォー

今年のイチオシボジョレー・ヌーヴォー

星の数ほどあるボジョレー・ヌーヴォー。今年試飲できたのは10種類ほどですが、その中で好みの味だった2つをご紹介します。ちなみに私の好みは、ガメイ種の特徴が全面に出たフルーティーなものです。同じような好みの方にはぜひおすすめです。ワインについて詳しく説明をするだけの知識がまだないので、ドメーヌ名の紹介だけに留めておきます。

Domaine Château de Grand Pré : Beaujolais Nouveau 2021

ボジョレーの10つのクリュの1つ、Fleurie(フルリ)にあるオーガニック認定を受けているドメーヌです。

www.domainegrandpre.fr

ボジョレーヌーヴォー

Cave coopérative Vignerons Des Pierres Dorées : La Rose Pourpre Vieilles Vignes 

ボジョレー南部のVal d’OingtというコミューンのOingt(オワン)村にあるワイン協同組合です。組合員のブドウ農家で収穫されたブドウを集めてワイン醸造し、販売しています。ちなみにオワン村は、フランスの最も美しい村の1つにも指定されていて、ワインに興味がなくても一度訪れてほしい場所です。

www.facebook.com/Vigneronsdespierresdorees

ボジョレーヌーヴォー

日本でも盛り上がるボジョレー・ヌーヴォーですが、現地にいるとまた違った形で楽しむことができます。ボジョレーワインが好きなら、この時期に合わせてフランス旅行を計画してもいいかもしれませんね。

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